UEFAチャンピオンズリーグ22-23も4/19でベスト4が出揃いました。
結果だけ見てみれば、セリエAから2チームとイタリア勢の躍進が目立ちます。
様々なチーム事情がある中で、敗退したチームは何が問題だったのでしょうか。
ベスト16まではいつものメンツが出揃う
22-23シーズンの特徴としては、スペイン勢が振るわなかったことでしょうか。
バルセロナ、アトレティコ・マドリードなど優勝とまではいかなくとも、ベスト16ぐらいには…と考えていたチームが脱落。
唯一レアル・マドリードが勝ち進んでいます。
決して順風満帆で勝ち上がってきたわけではないレアル・マドリードですが、「勝ち方」を知っているのが名門です。
特にリバプールとの一戦が、レアル・マドリードの勝負強さをはっきり見せた試合でした。
前年度の決勝を再現することになりましたが、内容はまったく異なるものとなりましたね。
なぜ5-2と大差がついてしまったのでしょうか。
リバプールはリーグ戦で不調とはいえ決して弱いチームではありません。
実際に、レアル・マドリードとの一戦は2点先行しており、幸先のいいスタート切っています。
問題なのは守備面での脆さと凡ミス。
パスミスや不用意なファウルで自らピンチを招いてしまい、レアル・マドリードにあっさり得点を奪われました。
攻撃面ではそれなりの迫力がありましたが、結局前半の内に同点とされ、後半開始すぐに逆転を許しています。
レアル・マドリードは中盤で優位に立つ場面が多かったのが勝因でしょうか。
展開としてもリードしてからは盤石の試合運びで追加点を量産。
攻撃力は互角に近いものがりましたが、守備や中盤の支配力では大差がついたでしょう。
またレアル・マドリードの、カルロ・アンチェロッティ監督の采配も光りました。
調子の良かったフェデリコ・バルデルベを使い、リバプールの右サイドを機能不全に。
前半は調子の良かったリバプール攻撃陣が後半失速したのは、バルデルベがかなり効いていたと思われます。
一方のユルゲン・クロップ監督は、効果的な打開策を見いだせずに時間切れとなります。
高齢化が囁かれるリバプールにおいて、選手の質でも完敗したと言えますね。
ベスト16では、ドイツ勢がバイエルン以外総崩れとなったのが少し寂しい結果となりましたね。
ここから先は「勝ち方」を知っているチームだけが見れる世界でしょう。
優勝候補の一角が崩れたベスト8
優勝候補としてナポリがあげられていた22-23シーズン。
ナポリは組み合わせにも恵まれていたと思います。
ベスト16以降の対戦表を見ても決勝まで順調にいくかに思えました。
しかしベスト8で姿を消すことになります。
ナポリの前に立ちはだかったのは、同勢のACミランでした。
近年のナポリはタレント・戦術ともに充実しています。
タレントではフヴィチャ・クヴァラツヘリアなど若手を発掘し、ナポリの攻撃をけん引する存在に。
戦術では2年目となるルチャーノ・スパレッティ監督の、ポゼッションを高めながらも縦へのシンプルで速い攻撃がチームに浸透しており、破壊力抜群です。
状況や相手によって柔軟に対応できるインテリジェンスもチームにもたらし、セリエAだけでなく、チャンピオンズリーグでもその強さを発揮していました。
その一方で懸念点もありました。
昨年と今シーズンのリーグ戦で、ナポリは必ず終盤に失速しています。
「悪い癖」と言えばそれまでですが、これは先ほどあげた「勝ち方」にも通じるものがありますね。
ナポリはかつて、ディエゴ・マラドーナが在籍した時代に一時代を築きましたが、その後は中堅クラブとして過ごしています。
今現在も決して財政的に恵まれたクラブではありません。
勝ちを義務付けられたようなビッククラブは、その性質上「勝ち方」を持っています。
ナポリにはそういった気迫とも言える勝利への執念が見られませんでした。
スパレッティ監督の課題として、選手たちに「勝者のメンタリティ」を持たせることがあげられます。
そういう意味ではミランはさすがとも言える試合運びでした。
昨年のリーグ優勝で復活した名門に、再び人材と覇気が戻ってきたように思えます。
ベスト8辺りからは優勝候補同士が激突しますね。
マンチェスター・Cとバイエルンの一戦は好カードとなりました。
結果は3-0と大差がつきましたが、ここまで圧倒的な強さで勝ち上がってきたバイエルンの敗因は何だったのでしょうか。
バイエルンに明らかな過失は見受けられませんでした。
ポゼッションを高めてくるマンチェスター・Cに対して、スピードのある選手を前線に並べたトーマス・トゥヘル監督。
カウンターに比重を置いた初期設定は、セオリー通りで無駄は見られません。
しかし、マンチェスター・Cのジョゼップ・グアルディオラ監督の策がその上をいきます。
この試合でCBのジョン・ストーンズがボランチの位置でプレイするシーンが見られました。
守備はCBとして、攻撃はポジションを一つ上げる偽CBのような動きで中盤に安定感をもたらします。
これでマンチェスター・Cは不用意なボールロストがほとんどありませんでした。
現代のプレッシングはボール奪取ではなく、相手のミスを誘発するのが主な目的とされています。
グアルディオラ監督は偽CBや偽SBを巧みに使い、中盤での支配率と同時にボールロスト率を下げることにも成功しており、攻守におけるポゼッションサッカーを確立。
特に両WGのジャック・グリーリッシュとベルナルド・シウバの安定感は抜群で、本人たちの能力値もありますが、戦術意図とプレイヤースキルが完全一致していると言えます。
マンチェスター・Cは攻守で役割とポジショニングがはっきりしており、あらゆる状況に対応できるようオプションも充実。
単純な戦術や個人技での崩しを、簡単に弾き返すことができます。
マンチェスター・Cの上質な守備と戦術に、明らかに攻め手に欠けていたバイエルン。
ボゼッション率はほぼ互角だったにも関わらず、バイエルンからは得点の匂いが感じ取れませんでした。
逆にマンチェスター・Cは思ったほどポゼッション率が上がりませんでしたが、良い守備からの流れをものにしましたね。
マンチェスター・Cの先制点は、決してバイエルンを崩し切ったものではありません。
しかし戦術が浸透しきっているチームには、まったく焦り見られず個人の能力も最大限発揮できていました。
先制してからの展開は盤石なものでしたね。
バイエルンがやりたかったプレッシングを、逆にマンチェスター・Cが再現し追加点をあげていました。
ずっと後手後手だった印象のバイエルン。
明確に戦術が勝敗を分けた一戦でした。
ベスト4は激戦必至
ベスト4の顔ぶれはまさに王者の集い
レアル・マドリードvsマンチェスター・Cの準決勝カードは2年連続。
どちらもベスト8で圧倒的な試合展開だっただけに、昨年同様にシーソーゲームが期待できます。
そして注目はミランvsインテルですね。
チャンピオンズリーグ準決勝でのミラノダービーは激アツです。
ミラノは大いに沸くでしょうね。
両チームがここまで勝ち上がってきたのは、少々以外だったかもしれません。
名門復活を遂げたとはいえ、リーグ戦では今シーズン31節終えた時点で5位のミラン。
一方のインテルも6位と、決して優勝候補と言える存在ではありませんでした。
ベスト16~8辺りで沈むと考えていた人も多いでしょう。
インテルは多少組み合わせに恵まれていた節がありますが、ミランはトッテナム、ナポリと強豪を撃破してきています。
両者の力を比べるのは非常に難しいですが、現状はミランが一歩リードしているでしょうか。
ミランはラファエル・レオンが好調で、左SBのテオ・エルナンデスとの連携も良いですね。
ブラヒム・ディアス、オリビエ・ジルー、サンドロ・トナーリ、とタレントも揃っています。
インテルはラウタロ・マルティネスをエースとし、ハカン・チャルハノール、マルセロ・ブロゾビッチとこちらもタレントに申し分はありません。
システムの構図としては、3-5-2のインテルがポゼッションサッカーで押し込む形を、4-5-1のミランがカウンターと縦に早いサイドアタックでどう切り崩すか。
両チームとも特徴が活きる打ち合いを予想しています。
そもそもミラノダービーですから、かなり激しい試合になるでしょうね…
優勝候補同士の激突とイタリア勢同士の激突という、分かりやすく見どころの多い試合が控えています。
今後のチャンピオンズリーグからまだまだ目が離せませんね。
本日はご視聴いただきありがとうございました。
チャンネル登録と高評価していただければ幸いです。
次回の動画でお会いしましょう。
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